今日は、ドローンと大変深い関わりがある「無線の資格」について書きたいと思います。

無線の資格は国家資格です。国家試験に合格したなら、免許証を発給してもらえます。(資格によっては、総務省の認定を受けた団体・企業が開催する有料の講習会を受講することにより取得できる場合もあります。)

さて、無線の免許には大きく分けて2種類あります。「無線従事者免許証」と「無線局免許状」です。

この2つはそれぞれ、“運転免許証”と“車検証”に例えられることがあります。「無線従事者免許証」は“運転免許証”と同じく人に対して与えられるのに対し、「無線局免許状」は“車検証”と同じく設備に対して与えられる、というわけです。

なお、このコラムでご説明するのは「無線従事者免許証」についてです。

ドローン操縦士と「無線従事者免許証」

一言に「無線従事者免許証」と言っても、そこには様々な分野(種類)と級が存在します。総務省のホームページによると、分野は総合・陸上・海上・航空・アマチュアの5分野に分かれており、その中にはさらに細分化された23もの資格が含まれています。

資格によって操作できる範囲が異なるためどの資格もとても興味深いのですが、とりわけドローン操縦士にとって最も関わりが深いのは「陸上特殊無線技士」と「アマチュア無線技士」の2資格でしょう。

現行の制度においては、ドローン飛行のためにある特定の周波数帯(5.7GHz帯もしくは5.8GHz帯)を使用する場合、業務利用なら「陸上特殊無線技士」、趣味利用なら「アマチュア無線技士」の資格を保有していなければなりません。これらの資格を保有していない人がその周波数帯を使用した場合は電波法違反となり、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課されることになります。(電波法第110条)

ただし、“無線従事者免許証を持っていさえすれば、どこでも自由にドローンを飛行させても良い”という訳ではなく、先述の通り別途「無線局免許状」も取得する必要がありますし、法律も電波法のみならず、航空法・小型無人機等飛行禁止法・道路交通法・民法・その他各自治体の条例といった各種法規を遵守する必要もあります。さらにケースによっては、国土交通省からの許可・承認を得たり、行政や地権者からの許可や同意を得たりしなければならない場合もあります。これらについてはいずれまた別の機会にお書きしますね。

資格を取得するメリット

いずれにせよ、無線の資格は大変奥が深いものです。私は「ドローンを始めよう!」と思い立った時、まず真っ先に無線の資格の取得に取り掛かりました。『無線を使ってドローンを空へ飛ばす=無線についての知識が安全運用にきっと役立つ』と考えたからです。また「せっかく取得するなら最上級!」とも考え、陸上特殊無線技士・アマチュア無線技士ともに第1級を取得することを目標としました。

陸上特殊無線技士およびアマチュア無線技士試験には工学と法規の2科目があり、両科目とも合格点に達しなければなりません。それまでは無線の世界と全く無縁であり、しかももともと数学や物理がそんなに得意ではなかったため、各種公式を覚えたり、それを基にして計算したりするのがなかなか大変でした。でも『試験に合格する』という明確な目標があったので、苦戦しつつも楽しく学ぶことができ、無事に各試験に合格、無線従事者免許を取得することができました。

確かに、無線の免許を取得したからといってドローンの操縦技術が向上する訳ではありませんし、ゴーグルを使用したFPV(一人称視点)と呼ばれる操縦方法に挑戦する人でない限り、すぐにこの資格が役立つ訳でもありません。そもそもドローンの中には免許不要の周波数帯のみを使用する機種がたくさんあるため、ドローン操縦士にとって必ずしも必須の資格ではないのです。では、そのような資格を取得するメリットは一体どこにあるのでしょうか。

プロ意識を持てる: やはりそれなりに苦労して取得した資格ですから、持っているだけでも多少意識が変わりますし、学習し記憶した事柄や知識が役立つシーンも出てくると思います。特に法規においては、電波法をしっかりと守りつつドローンを安全に運用するために、絶対学んでおいて損はありません。

信用度が高まる: さらに、保有している級が上であればあるほど、行政機関へ各種申請をしたり届けを提出したりする際に信用度が違うと感じています。

一生涯使える身分証明となる: 無線従事者免許は終身免許です。電波法への重大な違反をして免許の取消処分を受けない限りその免許は生涯有効ですし、写真付きなので(本人確認書類として認められてさえいれば)公的な身分証明書としても使用できます。

モチベーションにつながる: そして最後にこれはとても重要なことなのですが・・・、無線従事者免許証自体、結構かっこいいです(笑)。富士山のホログラムが入っていてとても綺麗なんですよ!時折見返すだけでも、モチベーションにつながること間違いなしです!

ということで、もし気になった方がおられましたら、ぜひとも無線の資格取得にチャレンジしてみてくださいね!